三相変圧器 の特徴や構造、原理、用途など三相変圧器について解説していきます。
三相変圧器 とは?
三相変圧器は、一次側と二次側が三相巻線によって構成される変圧器で、同一定格の単相変圧器3台あるいは2台による変圧とは異なり、より効率的な電力変換を可能にします。
この効率性は、総重量が単相器の約80%で済み、床面積を少なくできる点に加え、コストが低く抑えられる利点からも明らかです。
ただし、予備器容量が大きくなる、大容量時の輸送制限など、不利な点も存在します。大電力用には現在、この三相器が主に用いられています。
三相変圧器 の特徴
三相変圧器は、単相と三相の違いに基づいて設計され、それぞれの交流波形の位相が120°ずつずれた3つの単相交流波形が組み合わさっている点が特徴です。
この位相のズレにより、三相交流は単相交流よりも効率的に電力を送ることが可能となり、産業用や大型機器で広く使用されています。
三相変圧器 の構造
三相変圧器の構造は、一次側と二次側にそれぞれ三相の巻線が配置された変圧器であり、大電力を効率的に伝達するために設計されています。一般的な三相変圧器には、主に次のような結線方法があります。/h3
Y-Y結線(スター結線)
一次側と二次側の巻線がそれぞれY形に接続されています。
この結線方式では、線間電圧は相電圧の\(\sqrt{3}\)倍になりますが、第3調波が流れる回路がないため電圧波形が歪みやすいという特徴があります。
Δ-Y結線(デルタ-スター結線)
一次側をΔ形、二次側をY形に接続します。送電線の受電端などで電圧を低くする場合に用いられます。Δ-Y結線は、線間電圧と相電圧が等しくなります。
V-V結線
単相変圧器2台を用いて結線する方法で、3台の単相変圧器を用いたΔ-Δ結線から1台を取り除くとV-V結線になります。この結線方式では、一次側に対称三相電圧を加えると、二次側の各線間電圧は一次側に加えた電圧によって決まり、対称三相電圧が得られます。
三相変圧器は、このように様々な結線方式を持ち、用途に応じて最適な方式が選択されます。
三相変圧器 の原理
三相変圧器の原理は、電磁誘導の法則に基づいています。
三相変圧器は、一次側と二次側にそれぞれ三相の交流電源を接続して動作します。
一次側に供給された三相交流電流によって、変圧器のコア内に時間によって変化する磁束が発生します。
この磁束の変化が二次側の巻線に電圧を誘導します。
三相の各相は120度の位相差を持つため、一次側と二次側の巻線には、それぞれ120度の位相差を持つ三相交流電圧が発生します。
三相変圧器 の用途
回路間の絶縁
1次側と2次側で直接的な導通がないため、複数系統間の絶縁に役立ちます。
この特性により、絶縁トランスとしても使用されます。
接地
主に電力会社の変電所で用いられ、インピーダンスを設けることによって接地し、高圧配電線などの非設置系統で地絡を検出するために使用されます。
始動電流の制御
大容量電動機の始動時に減圧し、始動電流を制限する目的で使用されます。
二次電流の安定
鉄心に磁束漏れが起こる構造を設け、二次電流の増大を一定値で抑えるために使用されます。
ノイズカット
1次側コイルと2次側コイルが絶縁されている特性を利用し、ノイズの混入を防ぐために使用されます。特にインバータやモーターから発生するノイズを電気・電子機器に影響を及ぼさないようにする目的で使用されます。
参考文献
変圧器の仕組み~電気の基礎と電磁気学~
変圧器の結線方式と特徴とは?
【解説】変圧器の三相結線
三相変圧器 製品一覧
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